日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ

日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ(1)

2009年、アメリカでサブプライム・ローンの破綻に端を発する金融危機が深刻化していく中で発売された BM/BR レガシィ の門出に際して、富士重工業というメーカーを、ユーザーの立場から応援したいという思いでこのHPを開設して、早いもので3年になろうとしている。

 その間に、私自身、想像すらできなかった多くの国々、多くの方々にHPを訪れて頂き、このHPを見たという、多くの方々からありがたいお声を頂戴した。

 心より御礼申し上げたい。

 このような、本当につたないHPで恥ずかしい限りなのだが、「旅の恥はかき捨て」という言葉もある。

 人生という壮大な旅の中で、私が スバル と出逢い、いかにこれまでの人生を愉しませてもらったか、これからもそれを、私自身の言葉、考え方でお伝えしていきたいと思っている。

 これからもお暇な折に、「重病の」 管理人の偏執にちょっとばかりお付き合い頂ければ、これに勝る幸せはない。

 ミニチュアカーも久々の更新だが、今回は 日東科学 の 1/24 レックス コンビである。

日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ(2)

日東科学 といえば、あんまりパッとした車種をモデル化しない、比較的 「地味な」 メーカーだった。

 ただ、フルディティールのモデルには、本当に呆れるばかりのこだわりとそれを 「形」 にする技術力があって、たとえば、1/24 でいえば、トヨタ スポーツ800 は、組み上げてみれば、おそらくヨタハチの構造やメカニズムがすべて分かってしまうほどの精巧さで、私はいまだに、この時代のプラモデルの 最高傑作 だと思っているし、それに続いた ホンダS800M 、ダットサン フェアレディ2000(SR311) もすばらしいキットである。

その日東が、1982年 、前年の9月に RR から FF へとフルモデルチェンジした KF型 FFレックス コンビ をモデル化している。

 このモデルも本当にスゴイ。

 何が 「スゴイ」 のかといえば、プラモデルでありながら、見事に前輪駆動方式を成立させてしまった点である。

 さらに、「FFにしたからもういいでしょ?」的に、ディテールを疎かにするようなことは一切なく、いつもの 「日東らしく」 、実車のメカニズムレイアウトや、ディテールのこまごまとしたところまで丁寧に作り込んでいる事がすばらしく、他人から「スバルのプラモデルで一番は?」と聞かれたら、私は迷わずこの FF レックスコンビを挙げているほどなのだ。

 という訳で、下がそのシャシーの写真である。

日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ(3)

モーターライズ・キットといえば、普通、後車軸のギヤを、モーターに付いたピニオン・ギヤで駆動させるのが一般的である。

 なぜって、フロントを駆動したらステアリングが切れなくなるから、持ち主は走らせたキットを取りに行かなければならない。同じところをクルクル回ってくれた方が間近でキットが走るのを眺めていられる。「走ればいいでしょ?」。ま、そういうことだろう。余計な部品を作る手間もコストも掛からないしね。

 実車でもプラモデルでも、操舵を受け持つフロントを駆動させようとすれば、等速ジョイントが必要となってくることは必然で、このモデルではそのジョイントを 「トラクタ・ジョイント」 に似た、摺動式のジョイントを採用することで解決している。

 「走るだけじゃ満足できない」 まず、この点がスゴイのである。

 スバリストなら、スバル1000 で、富士重工業の技術陣がいかにこの等速ジョイントの開発で苦労したか、その紆余曲折を知っているし、スバル1000 で開発された ダブルオフセットジョイントがその後の全世界の自動車の前輪駆動方式の普及に計り知れない影響を、現在も与え続けていることを知っている。

 だからこそ、このモデルで日東科学が前輪駆動にこだわったことの 「重み」 は、車種とその世代は違えど、スバリストにとって格別なものに感じられるに違いない。

 そして、このキットのさらに驚くべきポイントは、電源の単三電池をリヤシート下にレイアウトして、実車のディテールとレイアウトまで忠実に再現しようと試みていることだ。

日東科学(ニットー) 1/24  スバル レックス コンビ XLサンルーフ

さらに、実際に後端がポップアップ可能なサンルーフや室内トリム、インストルメントパネル、折りたたみ可能なリヤシート (!)、開閉可能なテールゲートまで再現するこだわりようは、もう驚きを通り越して、ただただ呆れるばかりで、そこまで精密なモデルでありながら、部品の 「合い」 の正確さもすばらしく、決して「初心者向け」とはいわないが、注意深く組めばそれなりのフィニッシュに辿り着ける点も、日東らしくて好きだ。

日東科学(ニットー) 1/24  スバル レックス コンビ XLサンルーフ

そんな訳だから、シャシーにも手抜きがある訳がない。

 フロントサスペンションのトランスバースリンクから前方に伸びたテンションロッドや、フロアパンの形状、セミトレーリングアームのリヤサスペンション、そしてオリジナルのスチールホイールのディッシュ部分の形状を再現した、スイッチになっているスペアタイヤなど、見応え、組み応えは充分である。

日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ

室内のディテールに目を凝らせば、当時の KF/KM型 レックス のオプションカタログ で用意されていた、マルチボックス&補助コンソール が整形されていることに気づく。

 この 「マルチボックス」 とは、オーディオやスポーツメーター (!) を組み込むために必要だったもので、プレーンの状態ではこの部分が 「のっぺらぼう」 となっている。

 ならば・・・日立の Lo-D (ローディー)のフルコンポセットを組まねばなるまいよ。(笑)

 昔々、営業所でこのコンポを付けたレックスコンビを買った整備のおっちゃんから 「これすっげ〜高かったんだぜ!」と何度も自慢されたっけねぇ。

 今となっては、出力 25W×2 のプリメインアンプ (・・・) とイコライザーに付くのがカセットとFMチューナーでは ・・・ しかし、子供心にはたまらなく羨ましかったし、テクノっぽいゴチャゴチャ感とスクエア感がカッコいいんだよねぇ〜。

日東科学(ニットー) スバル レックス コンビ XLサンルーフ

パッケージも、この時代の雰囲気を伝えるもので、ショーナン ? ハラジュク ? まあ、ド田舎に永年住まう私には、ついぞ縁のないシチュエーションだが、元ネタはこちら

 ボディカラーが ファイヤーレッド から ライラックブルー へ、また総パクリでは芸がないと思ったか、ラゲッジルームの品物の配列が微妙に変わっているのが面白い(笑)。

ところで、このモデルには 「GAL人形」 なる、女性のフィギュアが 2体 付属している。

 OH!ギャル!ギャル!ギャ〜〜〜ルギャルギャルギャルギャ〜〜〜〜〜ル〜〜〜〜♪などと歌うと年齢がバレてしまうのでやめておこう。

 まあ ・・・ 組む予定はないので、同梱の 「GALマニュアル」 なる、この女性の組立説明書を載せておこう。ご参考まで。

そして、テールゲートを開いてみて、初めて、日東科学がどうしてここまで頑なにディティールや実車のメカニカル・レイアウトの再現にこだわったのかという 「答え」 をモデラーは知ることになる。

 日東科学は、当時、世界的に進みつつあった乗用車の前輪駆動化には、ちゃんと合理的、機能的な根拠があるのだ、ということを伝えたかったのだ。

 このKF型 レックスコンビはイマイからも、 1/20 でのモデル化に恵まれているのだが、今回の競作は個人的に言って日東科学の圧倒的な 「勝ち」 である。

 さすがに相手が悪かったとしかいいようがない。

ところで、このキットには、画像のようなデカールが付属している。

 空欄は今回の製作に使用したので、すでにないのだが、普通のナンバープレート、オプションだったリヤサンシェード、車検・定期点検・無鉛ガソリン指定の各ステッカーまで付けたこまやかさは、日東科学の面目躍如といったところ。

 でも、最後に H、I、L のデカールが残ってしまう。

 説明書にも、この 3つ は 「使用しません」 と書いてある。

そこで、当時のオプショナルパーツカタログ を見てみても、どこにもこの2種類のステッカーの設定はないのだが、よく見てみると、これはちゃんと使い道があって、やはりオプショナルパーツで用意されていた、右の画像の 「マルチラック」 なる、現在でいうところの 「ルーフボックス」 に貼付されていたステッカーなのだ。

上の画像は、このキットの外箱の内側にホッチキス留めで渡されている 「帯」 なのだが、ここには、上でくどくどと書いてきた、このキットの最大の 「売り」 である、「FF機構」のクリアパーツ整形で組み上げられた写真が載っている。

 はっきり言って、この写真では何がどうなっているのかさっぱり分からないのだけれど ・・・。

 そして、この帯には「CUSTOM レックスコンビ」と銘打たれた製作例の写真が載っている。この写真では、おおっ!例の 「マルチラック」 をルーフに乗せたフルオプションの レックスコンビ の姿があるではないか!

 これがこのキットのバリエーションで、本当に当時発売されたかどうか、ちょっと記憶にないのだが、折角デカールがあるのだから、開閉可能な 「マルチラック」 をプラ板をバキュームして作ってみようと思っている。

 しかし、EK23エンジンも、昭和47年登場から、この KF/KM型レックス の後の KG/KN型レックス まで引っ張られたんだから、ホント息が長かったよなぁ、などと完成した レックスコンビ を眺めながら考えた管理人である。

日東科学(ニットー) 1/24 スバル レックス コンビ XLサンルーフ(1)

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